13cm 『ラストオーダー』

　8年前の作。ぱっと見は普通の陵辱系黒エロゲで、抜きゲとしては、一昔前の黒エロゲによくあったアニメ塗りって感じで好みではなかったんだけど、元長柾木がディレクションとシナリオの一部を担当してて、かなり読ませる。主人公は論外としても、ヒロイン全員がそれぞれ歪みを抱えていて、それを肉欲と虚無感たっぷりに暴き出す。いや、ていうかね、まあ『フロレアール』あたりやった時も思ったけど、元長が書く主人公の独白のくどさがすげえ自分にしっくりくるわけ。自分の言葉を脳内で言葉に起こして、それにいちいち突っかかる感じ。で、今回はもうその主人公がニヒリズム全開なんだけど、その独白がこぼす「どうでもいい」、現実との乖離感みたいのが、俺が毎日他人に常に感じてるやつぴったりド真ん中で、もうここまで俺のあの気持ちを正確に言語化してるやつがいたのか、と、変なところで驚いてしまった。そういう意味では凄い好みの一作。

ラストオーダー ~Standard Edition~