2012-11-12から1日間の記事一覧

倉橋由美子 『毒薬としての文学』

戦中産まれくらいの著者の、30年分くらいの中からの選りすぐりとして選ばれた随筆集。後半は文学者批判がメインか。初めて読んだ人だけど、なんというか、頭のいい、それでいて凄く冷静な人、という印象。おかしいものをおかしいと言えるだけの力が存分にあ…

マイケル・サンデル 『これからの「正義」の話をしよう』

富の分配とかaffirmative actionとかの身近な正義の問題を、思考実験を通して徹底的に考え抜くことを目的とした本。ある意味ではそこの問題提起だけが重要で、特に単一的な結論は出ない。読んでるぶんにはわりとリベラル寄りの人かな。そう、最初はそういう…

ローワン・ジェイコブセン 『ハチはなぜ大量死したのか』

数年前に少し話題になった、飼ってるセイヨウミツバチが急に大量にどっかいなくなってしまうというCCDという謎の現象を探る、ことをきっかけにして、現在のアメリカの養蜂産業のあり方とその根本的な問題点を探る。なんか、著者がわりとナチュラリスト寄りの…

芥川龍之介 『歯車 他二篇』

最晩年、自殺直前に書かれた短編3つ。特に『歯車』は難解なことで知られてる一作ですな。具体的には、回っている半透明の歯車という幻覚を見つつ街を歩きながら、レインコートとか鼠とかのモチーフ、それに色の種類なんかに対する直感的な危機感に怯えて逃げ…