ローワン・ジェイコブセン 『ハチはなぜ大量死したのか』

 数年前に少し話題になった、飼ってるセイヨウミツバチが急に大量にどっかいなくなってしまうというCCDという謎の現象を探る、ことをきっかけにして、現在のアメリカの養蜂産業のあり方とその根本的な問題点を探る。なんか、著者がわりとナチュラリスト寄りの人で、その人がいかにもアメリカのドキュメンタリーって感じの、ある日の家族の朝食へのフォーカスから始まって(蜂蜜だけじゃない、ミツバチの受粉によって果物ができるんだ)、そっから話を広げていく『世界まる見え』みたいなくどい口調で、工業化された養蜂の問題点、例えばハチに寄生するダニ、それを駆除するための殺虫剤、これまた工業化されたアーモンド栽培の受粉に貸し出されるミツバチにかかるストレス、なんかを書き連ねていく。今でも確かCCDの原因って分かってないんだけど、特にこの著者はそれをなんか全部まぜこぜにして(複合的要因)工業化された農業が悪い、みたいな話に持っていく。普通にこの本だけ読んで判断するぶんには「ヤバいの農薬じゃん」と思わせる書き方をしているんだけど、他のところを見ると病気説とかも同レベル以上に怪しかったりして、まあいまいちよく分からない。単純に養蜂面白そうだな、という感じの紹介としては興味深いし、蜂蜜は凄いなあ、だし、中国産の安い蜂蜜は本当にヤバいんだなあ、とか、全然知らないことを色々学べて面白いという本ではあるけど、CCDについては分からんですね。

ハチはなぜ大量死したのか

ハチはなぜ大量死したのか