芥川龍之介 『歯車 他二篇』

 最晩年、自殺直前に書かれた短編3つ。特に『歯車』は難解なことで知られてる一作ですな。具体的には、回っている半透明の歯車という幻覚を見つつ街を歩きながら、レインコートとか鼠とかのモチーフ、それに色の種類なんかに対する直感的な危機感に怯えて逃げ続ける、筋のない散漫な話。確かになあ、あいつら、俺に興味ない癖に俺の敵だからなあ、自分らと違うという点で本質的にわかり合えない。

歯車―他二篇 (岩波文庫 緑 70-6)

歯車―他二篇 (岩波文庫 緑 70-6)