浅田彰 『「歴史の終わり」を超えて』

 フランシス・フクヤマの『歴史の終わり?』を批判的な切り口に、サイードとかボードリヤールとかの有名な哲学者と対談する一冊。20年くらい前の対談集で、現実的な情勢を題材に扱ってるだけあって、まあ哲学に徹するよりは分かりやすいけど、やや時代遅れな感もある。特に「日本」の扱いがなんかすごくて、コジェーブとかいう人が言ったのか知らんけど、日本的スノビスムとかいうものが(ローカルな現象の解釈でなく、世界的な思想の流れの象徴として)語られたりして、まあ肯定的なものかどうかは別として、そんな語られるようなスタイルを生めるほどの存在感を持ってた時代があったんだなーと思う。まあ誰がどんな方向のことを当時言ってたのかが、現実の情勢に対する問題意識とこの著者の誘導とによって分かりやすく整理されてはいるか。

「歴史の終わり」を超えて (中公文庫)

「歴史の終わり」を超えて (中公文庫)