バルザック 『ゴリオ爺さん』

 19世紀のパリ社交界などを書き表すのに、色んな小説で共通の人物を登場させる「人間喜劇」という手法をとったバルザックの、その「人間喜劇」を始めた1冊。まあ岩波のちゃんとした注釈でその辺は「この人は『〜』という作品でこんな過去が語られており〜」というのが分かるので別に問題ない。まあ、結構魅力的な人物がわりとあっさり退場して出てこなくなったりするので、その辺は他のに出てるなら読みたいかなあという気はするけど。1本の作としては、バルザックの緻密な風景描写が、まあ個人的にもパリ行ったことあるから楽しめたのと。あと2人の娘に盲目的に尽くして貪られるゴリオ爺さんの父性愛が、なんだか『痴人の愛』みたいだなと思うも、あれは一応恋愛だと思うとやや気持ち悪い。盲目的というのは相手すら見ていないからなあ。

ゴリオ爺さん (上) (岩波文庫)

ゴリオ爺さん (上) (岩波文庫)

ゴリオ爺さん (下) (岩波文庫)

ゴリオ爺さん (下) (岩波文庫)