大西科学 『さよならペンギン』

 多世界解釈を哲学に持ってって延々とごちゃごちゃ悩む話をラノベのメソッドで起伏を付けて(異能バトル展開とかある)、主人公をオッサンにして読者の年齢層を上げた、って感じに見えるSF。その、シュレ猫で喩えられる観測問題に関しては、個人的には少し理屈を知ってる分だけ「まあ、そういう考え方も出来るよね、確かに」って感じで驚きも共感もないわけで、そんなのがメインテーマで最初から最後まで続くのはちょっとつらい。序盤の文体の雰囲気と、細かい挿話の引き出しの多さはちょっと面白かったかな。

さよならペンギン (ハヤカワ文庫 JA オ 9-1) (ハヤカワ文庫JA)

さよならペンギン (ハヤカワ文庫 JA オ 9-1) (ハヤカワ文庫JA)