伊藤左千夫 『野菊の墓』

表題作は下衆の勘繰りで引き裂かれた少年少女、というわかりやすい設定、シンプルな筋、写実主義俳人らしく事細かに描かれ過ぎてる感すらある情景、更には最終的に登場人物まで全員が揃って憐れんで泣くので、共感というか同情はできる、けれども、なあという感じ。他に入ってる『浜菊』もモデル小説で、理解りはするけれども、という感じの愚痴っぽい感じ。こっちの方が若干情感を省いて論に入ってる分だけ読みやすくはあるかな。
野菊の墓 (新潮文庫)