ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟』
この本は、呪いなのだと思った。キリスト教の教え、ロシアの大地と風土、兄弟関係や親子関係、恋愛関係から、登場人物の一人ひとり、あどけない少女のように描かれたリーズに至るまで、その全ての内実に悪魔を含んでいる。更に救いがないのは、結果的に「愛」が全てを赦すように説く点だ。まいった。結局それが一番自分を苛む。決定的な呪いだ。
この本を読んだ直後の今はあまりこの本について語ることはない。ただ、この先の人生の時々にこの悪魔が顔を覗かせるんだろうなという決定的な予感はある。これはまいったな。