武者小路実篤 『真理先生』

ふう。生きる気力を失った時の武者小路実篤、だな。どうにもごろが悪いか。

ほとんどない筋、文化人ばかりが登場するのに上品過ぎずとても読みやすい文章で、すんなりその語られる思想に入り込める。理想化された善人ばかりが登場してみんなで芸術やら誠実さや人生を肯定しあったりするんだけど、こういう文学の中にしかありえない理想化された世界に入り込むのが堪らなく心地いいんだよね。これで少しでも現実の方の心が浄化されていればいいんだけど。どうでしょうかねえ。

真理先生 (新潮文庫)