2009-02-01から1日間の記事一覧

森下典子 『日日是好日』

普通の女性の立場から書かれた、ずっと習い続けているお茶についてのエッセイ。序盤は先生の言ったお点前の動作の記述を一生懸命理解しようとする著者の姿が書かれているんだけど(この本の導入部分としてはすごく正しい)、本の中盤を過ぎた辺りから、著者の…

太宰治 『富嶽百景・走れメロス』

戦前の作品に絞った短編集。どうも読点が多くて、読んでてつっかえるなあ。特に気になるのは『女生徒』。14歳の女生徒の1人称で、独白体で綴られる短編。中二病気味の厭世観などの感情を次々に微に入り吐露していくんだけど、それがその読んでてつっかえてし…

谷崎潤一郎 『鍵・瘋癲老人日記』

日記形式で書かれる老人の性生活についての2作。相変わらずこの作者はこの手の、実は弄ばれてる男を描くのがお得意でいらっしゃいますな、という感じ。『鍵』がある意味で、その題材を描くために寓話化というかキャラクターを役割のみに絞って抽象化して結末…