森下典子 『日日是好日』

普通の女性の立場から書かれた、ずっと習い続けているお茶についてのエッセイ。序盤は先生の言ったお点前の動作の記述を一生懸命理解しようとする著者の姿が書かれているんだけど(この本の導入部分としてはすごく正しい)、本の中盤を過ぎた辺りから、著者の内面的に起きた変化についての話がぐっと増えてきて、そこが面白い。個人的にも京都での暮らしが丸3年、最近ようやく地域の神社とか草花とか和菓子の贈答文化とかが見えるようになって、はじめて所属意識みたいな感情を覚えることがあったので、この著者の、お茶の作法によって環境への感受性をフルに開かせられたあとの感覚、みたいなのはわかる部分があるような気がする。学生証が効くうちに茶道資料館も行ってみたくなった。

日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)

日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)