『劇場版 PSYCHO-PASS』

 仮想の南アジアあたりの一地域にサイコパスを導入した国を舞台にした話。あんまり敵キャラとかの現地人のキャラ立てはなくて、現地に流れて反政府活動してる狡噛さんと、それを追ってきた常守との邂逅にフォーカスが当たる。まあTVアニメのその後を描く劇場版なんだから、そういうものを期待するんだけど、なんか最終的にはシナリオっつうかストーリーの批評性がすげえ面白かった。
 公開は今年頭なんだけど、この時点ですげえのぶっこんであったんだな、という感じ。民主主義の本質はプロセスにあって、仮に支持されることが明らかな場合でも一旦規定の全ての手続をちゃんと踏むことが絶対に必要であるという、民主主義の一番の要点が、まあ。舞台を外国に当てこすってるあたりも苦笑いだ。この辺り、シンガポール的なトップダウン型の政治を経済発展の観点から見て強いリーダーシップとかいう言葉で評価するのは勝手だがあれはあの時代の東南アジアのあんま発展してない人権意識だからこそ成り立ったものであり今の日本でやれるわけないでしょうとかいう話はしていません。
 もちろん常守の清濁併せ呑みっぷりの巨大化(最後のホログラム踏む巨人っぷり)路線もすげえんだが、いや、すげえ話だったな。