『NARA:奈良美智との旅の記録』

 睨みつけるような眼をした少女の絵で有名な画家の、2006年にやった展覧会の様子を撮ったドキュメンタリ。数年前に誰かが勧めてたから見たいリストに入ってたんだけど、今度青森の県立美術館行くことにしたので、一応その前に。
 少年時代の孤独、滞独時代の孤独から生まれたとされる画風が、その展覧会で初めて他の人と一緒に、展示会場に小屋を建てたりと共同作業をしていく中で変わっていく様子を描いている。なんか、学生ボランティアと一緒に作業したり外国で現地のコーディネーターみたいな女の子と仲良くなったり、なんかすっげえ学祭みたいな「うぇーい」って感じのことをきっかけに画風が変わっちゃってて、「え、足りてなかったものって、そういうことなの?」とは思う。まあこの辺、その画風の変化を「表層的な孤独から一段深い孤独を描くようになった」と自分で評しながらも、その変化の不可逆性みたいのには自覚があるみたいで、まあこれまでの「表層的な孤独」を描いていた作品に感銘を受けてた人は戸惑うだろうなあ。まあしかし、人として他人と一緒に楽しく作業することで、なんとなくあっさり救われちゃったときに、それで作風が変わるのはしょうがないにしても、その変化がちゃんと深化であればいいのかもなというのは、個人的にはわりと思うところがあったりしました。

NARA:奈良美智との旅の記録 [DVD]

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