『マン・オン・ザ・ムーン』

 30年くらい前に早世したアメリカの伝説のコメディアン、アンディ・カウフマンの生涯を描く。序盤のコメディアンとして面白いことを言って人気を博していくってあたりの普通のギャグの部分は普通に経年劣化して、たいして面白いとは思わないんだけど、後年になって悪趣味方向に先鋭化していって、あらゆるものをヤラセで茶化しながら、性差別的なことを言って女性とプロレスやってみたりして、みんなからの人気を失っていく辺りからがわりと面白い。なんつうの、人の感情を自分の手で動かすという意味では、笑わすのも怒らせるのも等価値でやってて楽しいつうか、俺の思い通りにあいつら怒ってるwwwっていうワクワク感が楽しいし、自分がされてるインチキ治療に気付いてマwwwジwwwかwwwよwwwってなる楽しさ。やっぱプロの芸人ってそういうとこにあって、これ以上やったら悪趣味な笑いとしては評価されるけど普通の人には嫌われる、っていうとこを軽く突き抜けて寄せていく辺りが、やっぱ好かれたいだけの素人の自称お笑いに厳しいオモシロ大学生には絶対越えられないとこだよなあ。その淵のギリギリまで毎度寄るためには、なんか瞑想みたいのをして常に原点を確認しないといけなかったり、死を意識してから最後にほんわかみんな幸せな笑いに回帰するのは、ややつらい話ではあると思うが。

マン・オン・ザ・ムーン デラックス版 [DVD]

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