竹宮ゆゆこ 『知らない映画のサントラを聴く』

 ラノベと呼ぶと怒られる文庫。親友を喪った無職23歳女と、その親友の元カレが、なんだかよく分かんないまま同棲する話。単巻ならではのスピード感が、このよく分かんなさを煽る。そのよく分からなさとは、その親友の喪失をどう葬送するかというのを上手く処理できなかった2人の問題であって、果たして葬式とは遺されたもののためにあるなんて実質そのものである。それを済し崩し的に共有して同棲していくさまが、なんかこの本の帯では「圧倒的恋愛小説」なんで書かれているのだが、え、恋愛か、これ? まあこれに「さびしさを埋め合わせるように」なんて言葉をつけて恋愛と勘違いした(ことにして)まま進む人がいっぱいいるのは知ってる。