桜庭一樹 『少女七竈と七人の可愛そうな大人』

 淫乱な母親から生まれた美しいかんばせを持つ少女の、その美しさの持て余し方、つまり、生まれた北国の小さい街から出られない幼さとか、同じ美しさを持つ幼馴染みの男の子との、普通の人たちとはリズムが違う会話とか、その拙さが、上手く歩けない幼児を見ているような愛おしさを持つ、のだと思う。