米原万里 『心臓に毛が生えている理由』

 2000年前後に新聞や雑誌に載せていた短いエッセイを集めたもの。ロシア語の通訳、特に同時通訳者として国際会議を受け持ったりするのだから、そこには機転と知識とそして何より度胸(毛の生えた心臓)が要るわけで、それをバックグラウンドに軽めの切り口で時事批評をしてみたり、ことわざや文化の面からロシアや中欧と日本との考え方における違いを書いてみたりする。どちらにも同情的で、どちらにも皮肉交じりな、外からの視点という感じ。