『イリュージョニスト』

 フランスのアニメーション映画。実在した喜劇役者のジャック・タチという人をモデルにした(つうかこの人は映画監督でもあって、その人が生前に書いた脚本を基にした話)、老奇術師と、その手品を魔法だと勘違いして奇術師について行く田舎娘の話。ほとんど台詞のない、静かなおはなし。
 ヨーロッパのアニメっぽい、似顔絵的に人を戯画化してるのにちゃんと人として動いてる感じ、あと描かれているもの全てにちゃんと意味があって、それに注視したら注視しただけの甲斐がある画面構成(何とは言いませんけど、資料写真をコンピュータ処理して背景にして緻密な背景ってことにするの、どうなんですかね)が、アニメ映画としてすごく良かった。
 ストーリー的には父性愛とその裏切りって感じなんだけど、まあ甘やかすだけ甘やかして裏切られるのをどうこう言うのって、盲目の愛とか優しさとか父性とは言わないと思うので。