浅田次郎 『勇気凛凛ルリの色』

 作家が週刊誌に連載していた、軽めのエッセイ集。あんまり売れてなかった頃から、それが数年で『鉄道員』で直木賞を獲るくらいまで。作家だけあって、日常の出来事を脚色して書いたり、あとは当時にあった殺人事件なんかの、被害者や犯人のその瞬間の心情を想像して小説風に書き上げて見せたりする。さらっと読めて面白いんだけど、なんというか面白さ優先というか、サービス精神なんだろうと思うけど、こうやって本にして数年分を読んでみると、その時々で言ってることが全然違ったり(言説がじゃなくて、事実関係が違ったりする)して、まー調子のいい人だなと思う。そういや前にあった蟹の宅配詐欺の話もそんな風にできたんかなあ。