竹内薫 『ペンローズのねじれた四次元』

 15年くらい前のブルーバックス。なんか著者の色がきつくて読むのがつらい。相対論を理解するには科学哲学が必要だ、とか言い出すし(そのわりに、ちゃんと数式読めば書いてあることしか言わない)、途中でうだうだ観測問題の話を科哲の言葉でうだうだ語ろうとするけど勿論結論は出ないし、最終的にペンローズの仕事にもたいして結びついてない。というかその辺、筆致の構成も行き当たりばったり感があって、ちゃんとペンローズの仕事を理解して、その説明に必要なこっからここまでを説明しきろう、という意図が感じられない。文章中にはやたら冗談交じりの比喩は混ざるけど、それも大概面白くないし、あと科学のことを何か別のもので喩えるときには、「いま説明したいもののここの理解の類推として、この喩えのこの部分が使える」っていう射程の説明をきちんと立ち止まってかなり説明しないと誤解しか生まないんだけど、面白いこと言ったつもりでその部分がおざなり。あと物理の理解も微妙な点がある(振幅と確率を混同してたりとか、あと15年前はどうか知らんがSeiberg-Wittenが4次元特有ってのはどうかね)のも相まって、もう著者が全く信用ならないけど、最終的にツイスターの説明も全くしてないので、読むとこないまま読了。