『プロメテウスの罠 1』

 震災から半年後に始まった朝日新聞の連載で、福島第一原発の事故の直後に何があったのか、静かな口調で事実に基づく形で、個人の名前を出して考証する。なんつうか、マスコミもやれば出来るんじゃん、と思うくらい客観的で明確な取材になっていて素晴らしい。まあ例外は低線量について割かれた章で、この本の最大の特色である少し時間をおいて考証するからこそ出来る取材は、まだよく分かんないから取り敢えず出来る対策をするという低線量被曝と完全に相容れていない。内容の正誤はともかくとして、新聞に連載している間はそのリアルタイム性があるからいいけど、こうやって本に纏まって確定したものとするには尚早という感じがする。