スティーヴン・ジェイ・グールド 『ワンダフル・ライフ』

 カナダにあるバージェス頁岩というところから発見された化石群に対して、それを復元、解釈することで世にも奇妙な生物たちを再現していく、古生物学者たちの話。ベストセラーになった後、わりと学問的に再解釈が進んで、色々間違いが見つかっている。進化も、生き残ってきた原始生物に突然変異が起きてそいつらとの間で適者生存が起きて複雑性、多様性を増していくという進化図から、悲運大量死モデルという、まあカンブリア大爆発とかで色んなデザインの生物が一気に現れて大方は死ぬ、多様性のピークはそのカンブリア大爆発の時であって現在ではない、というのを提唱しているけれど、それも微妙ということになっている。まあそれでも、問題は復元した後のその生物の分類の問題なので、そこを除いた、予備知識を全く仮定しないのに、変な形の生物を化石から読み取っていく復元過程を説明しきる筆致は、売れるだけあってとても面白い。

ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語 (ハヤカワ文庫NF)

ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語 (ハヤカワ文庫NF)