紅玉いづき 『ブランコ乗りのサン=テグジュペリ』

 『少女サーカス』のタイトルで電子書籍に連載してたやつの改稿。年端もいかぬ少女ばかりを集めた、絶大な人気を誇るサーカスを舞台にして、その少女たちにスポットライトを当てていく。この辺りの年齢の少女の危うさと、それが集まって作る場を書くことにかけては、まあこの作者のちょう得意なところで、その少女達の覚束なさと、才能を自覚した昂揚感が、まるで空中ブランコの舞台の上みたいで大変素晴らしい。まあ、その少女達の不完全さの美しさを作中でも賞賛するに当たって、さすがにこれは舞台を作りすぎかなー、とも思うのだが(アンデルセンはその舞台に戻っていくし)、それを逸脱するという選択肢、そしてその美しいとされる欠損を現前させてしまう方向に逸脱するという選択肢、この2つをコントラストさせた結末に至って、作りすぎだった舞台設定をただの舞台としてコントロール下に戻す手腕だなー、と。