『ザ・ベストミステリーズ2012』

　日本の現代ミステリの短篇集。大まかに言って、短編の物語に徹してミステリ部分は味付けとするものと、その短編に仕掛けたトリック(大概叙述トリック)を明かした爽快感で逃げ切るものとの二つに分かれるんだけど、どうにもそのトリック派の方には、思いついちゃったトリックをくどくど説明したり、出す小道具たちを全て意味のあるものにしようとしていちいちうるさくなっているものなんかも多くて、ミステリが特に好きというわけではない人にとってはそんなに楽しくないものも多い。物語派の方はビブリア古書堂の短編やら杉井光の音楽もの、それに詠坂雄二の『残響ばよえ〜ん』なんかがわりと好み。

ザ・ベストミステリーズ2012 (推理小説年鑑)