『星海社カレンダー小説 2012』
「七夕」とか「猫の日」とかの"1年の記念日"を選んでテーマにして、色んな作家が書いた短篇集。まあその意味でクライマックスは題材選びで決まっているわけで、そのたった1日のお話を仕立て上げるのに、そのテーマに応じてSF設定を仕立て上げて現実とのギャップを狙ってみたり、それまでの文脈を築いてその1日を盛り上げてみたりする。これweb連載の時にも絶賛して、つうかこれをメインに買ったんだけど、やっぱり個人的には11/22「夫婦の日」担当、紅玉いづき『青春離婚』が珠玉。設定の時点でやっぱり奇をてらう作家が多い中、純粋に、普通のまんまで3年分の物語を紡いでしまう。それが作者の湿った文体の少女小説全開で、これは本当に良い。もうねえ、秀英明朝で書かれた「へたくそ」の4文字がこんなに愛に満ちてるか。
その他だと七夕担当の佐藤友哉『星の海にむけての夜想曲』の絵面としての綺麗さなんだけど、これは別に長編化して単行本になってるらしいので、まあ。
星海社カレンダー小説2012(上) (星海社FICTIONS)
- 作者: 十文字青,小泉陽一朗,ミタヒツヒト,佐藤友哉,星海社編集部
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/07/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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