結城浩 『数学ガール ガロア理論』

 平易な言葉で基礎から、著名な数学の理論までを一通り説明する有名シリーズの最新刊。今回はガロア理論と言うことで、置換群などの線形代数に始まって、角の三等分問題を体の添加から説明して、最終的には代数方程式の可解性、ガロアの第一論文までを説明します。そうねえ、難易度としては俺くらいでも、主人公たちの取り組む問題は最初の6割くらいは読みながら目でぱっと解けるくらい、そっから先は殆どガロアの第一論文の説明が中心で、まあ本気で理解しようとすると別途で証明が要るのでアレ、くらいのところですね。最後の方はかなりガチな内容。まあ目で見て解けた気になるっていうのは、相変わらずよく練られた著者の構成に拠るところが大きいんだけど。うん、本格的にこの話が気になった時にどういうことを考えればいいか、というガイドとして本当に面白かったです。そうねえ、今回特に気になったけど、「例示は理解の試金石」っつって、簡単な例だけ見て理解した気になっちゃうような構成はちょっとなー、とは思う。まあその他、細かく気になる点を挙げれば、作図可能数の定義の入れ方がちょっとおかしいのと、あと置換群について「要素の順序は違うが群としては同じ」って言葉がちょくちょく出てくるけど、ミルカさんが使うには「要素の順序」って言葉はちょっと不用意すぎないかねというところ。まあ、そんな些細なことは瑕疵ですらないと思うけど。

数学ガール/ガロア理論 (数学ガールシリーズ 5)

数学ガール/ガロア理論 (数学ガールシリーズ 5)