谷崎潤一郎 『潤一郎ラビリンス 2 マゾヒズム小説集』

 タイトル通りの短篇集。見た目に反して、どっちかというとマゾ側が主導権を握っている、というのはわりと最近では周知のことだけれど。そのことを大正の当時から完全に分かってて、その行為そのものよりもそこに行き着くまでのマゾ側の行動を人間の物語として、あるいはSMの理論として書いている。谷崎はやっぱ分かってんなあ、というのが印象。