レイモンド・チャンドラー 『高い窓』

 いつものフィリップ・マーロウ。まあそれが一人称視点の鋭さなのかもしれないけれど、マーロウものも何冊か読んでると、初登場時の描写だけで、この女が今回のヒロインかなとか、悪くない人だけど馬鹿だから死んじゃうかもだな、みたいなのがうっすらわかってきて、だからこそ、冷徹だけどちょっと人情的で、自分が自分に課したルールを全力で守りきるマーロウに感情移入できるというか。あ、あと、22章から25章くらいかな、30Pぶんくらい途中の和訳が変。なんか途中で訳者が亡くなって急遽なっちが引き継いだらしいんだけど、その部分なのかな。25章なんか特に「どんな治療を?」「あの人は何をしたんで?」とかもうテンプレ並みにそれっぽいけど。

高い窓 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

高い窓 (ハヤカワ・ミステリ文庫)