南井大介 『小さな魔女と空飛ぶ狐』

 大槍絵買いした甲斐があった。わりとシリアス寄りの戦争小説。モデルはWW2辺りのスペイン内戦。ラノベっぽいキャラ配置で物語を駆動させながらも、大国の思惑による代理戦争とかちゃんとした人死にを始めとした戦争描写で基盤を作ってて、結構シビアに読める。まあただ結末がキャラ個々で見ると落ち着くところに落ち着きすぎというか、そんな感じは。んー、メインヒロインが小生意気な天才科学者で、初登場シーンが、その足りてない倫理観で戦場経験豊富な主人公相手にふっかけるとか、そんなの物語の途中で戦争の現実を目の当たりにして一旦挫折するしかないわけで、まあ実際そうなるよね。そこはねー、もう1人敵国側にいるライバル科学者も含めて、なんか人の科学倫理観ってそんなやすやすと"成長譚"の一環として単調に良くなるものかね、など。その温度がラノベの特色なのかもしれないけど。

小さな魔女と空飛ぶ狐 (電撃文庫)

小さな魔女と空飛ぶ狐 (電撃文庫)