2010-10-13から1日間の記事一覧

野村美月 『"文学少女"見習いの、卒業。』

見習い編完結。前半のネタ本は夏目漱石『こころ』と、このシリーズらしさという意味ではド直球。後半は『桜の園』になぞらえた心葉の卒業と、告白。始まりとの対称とかベタベタだけど、それでもいいものはいい。心葉くんの成長。そして輝きを取り戻しつつあ…

竹宮ゆゆこ 『ゴールデンタイム 1』

『私たちの田村くん』でお馴染みの竹宮ゆゆこの新シリーズ。強くて脆いヒロインとか構図は前作の『とらドラ』を彷彿させるところもありながら、登場人物の年齢を上げてしかも舞台を大学に移したことで『とらドラ』の閉塞感と抑圧が薄れて、また違う次の段階…

支倉凍砂 『狼と香辛料 15』

最終章上巻。ホロとロレンスのいちゃつきに駆け引き要素がなくなって、もうただダダ甘な安心感。商売パートもよくよく練られていてわかりやすく、それでいてホロの方の物語にかかる部分もあって、もうちょっとカタルシスを強調すればこれでおしまいでいいじ…

杉井光 『剣の女王と烙印の仔 6』

パオラさん頑張りました。閉塞状況から脱出。クリスとミネルヴァもダダ甘無双。直接切った張ったの戦闘描写より、こういうアイディア勝負な描写の方がこの作者っぽくて好きかなー。烙印とかそういう地盤はできてるし。剣の女王と烙印の仔? (MF文庫J)作者: 杉…

竹井10日 『東京皇帝北条恋歌 6』

前回の引きの記憶喪失でまさかのシリアス調。秋桜の空に何それ。ちゃんと放り投げないシリアスも書ける人なんや……。それでいて作者一流のテンポのいいボケツッコミはところどころに冴え渡る。東京皇帝☆北条恋歌 6 (角川スニーカー文庫)作者: 竹井 10日,要…

J・さいろー 『絶対女王にゃー様 3』

完結。収束。セクシュアルでミステリアスに隠されていた女の子たちの秘密が剥がされていって、残ったのは意外なほどに爽やかな。絶対女王にゃー様 3 (ガガガ文庫)作者: J・さいろー,しろ出版社/メーカー: 小学館発売日: 2010/08/18メディア: 文庫購入: 2人 …

川上稔 『境界線上のホライゾン 3』

3冊計2500P弱。対仏→人妻もの官能小説→ミトかわいい。まあ適度な脱線と、それでいてちゃんと立っていたサブキャラがきちんと死んでいく、壮大な規模のこれからの為の挫折。戦闘の視覚的な面白さも折り紙付き。GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン (3)上 (…

一肇 『くくるくる』

自殺願望少女とストーカー男のゆるふわボーイミーツガール。このすっとぼけたような、ズレて、浮いてる雰囲気が変な強度を持っていて、終盤はいわゆる超展開が待ち受けているのだけれど、それをも飲み込んで消化しきって、物語の原点の提示にちゃんと戻って…

南井大介 『小さな魔女と空飛ぶ狐』

大槍絵買いした甲斐があった。わりとシリアス寄りの戦争小説。モデルはWW2辺りのスペイン内戦。ラノベっぽいキャラ配置で物語を駆動させながらも、大国の思惑による代理戦争とかちゃんとした人死にを始めとした戦争描写で基盤を作ってて、結構シビアに読める…

伊藤ヒロ 『アンチ・マジカル』

アメコミの『ウォッチメン』×元ネタのわかりやすい魔法少女パロディ×男の娘、といった感じのラノベ。既存のものを組み合わせて新たなものを作るというのは当たり前の手法だけど、こんなにも見やすい形でレシピが見えてしまうと、評価はどっちかというとパロ…