ヘルマン・ヘッセ 『デミアン』

 1人の少年の少年期から青年期を越えるくらいまでの自我形成とその自我に辿り着くまでを描いた、小説でありながらも哲学書や神学書に近い側面も持つ本。少年期あたりのくだりは「まあがんばれ」っていう、これまで俺が読んだヘッセの小説と大体似た感想だったんだけど、放蕩期を経たあとの、内面自我の存在を絵画やピアノを使って現前させて向き合うあたり、さらにそのあとどんどん自己を掘っていく様子なんかは、「そう、これなんだよな……」という深い共感と、一種の憧れ。ま、珍しく小説の適齢期が自分に合ったタイミングで読めたかもだな。

デミアン (岩波文庫 赤435-5)

デミアン (岩波文庫 赤435-5)