朝永振一郎 『量子力学と私』

講演録や留学中の滞独日記に一般啓蒙用のエッセイ、そしてノーベル賞受賞講演など。中身の年代は戦前から晩年に至るまで。なんてったって滞独日記がエロい。30そこそこで結果の出せないままドイツにいて感じる孤独感とか焦燥感とかがかなりダイレクトな言葉で書かれてて良い。
あとは物理屋としては。当たり前の感想になるけど。問題を問題として与えられた時にそれに対して答えを探すわけだけど、こんなに世界中に物理屋がいて、その中で誰が問題を解くかということに対してどこで差がつくかというと、それまでの蓄積っていうか持ち弾で、それって直接その問題に絡まないことだったりするんだなー、とか。この本の序盤に追想されてる量子力学黎明期の大学生活とか成果を上げる前の滞独日記なんかを読むとそう思う。

量子力学と私 (岩波文庫)

量子力学と私 (岩波文庫)