森田季節 『原点回帰ウォーカーズ』

この作者の長所はデビュー作から変わらず、頑張る少女を書かせりゃ相当良くて、カタルシスを持ってくる終盤は1巻も短篇集の2巻も戦う女の子の健気さが結構ガチ。じゃああとは、そこまで持っていく全体の文体で更に盛り上げるか、女の子のキャラを魅力的にしていくかの問題で。今回はただ、それを瀟洒に仕立て上げていた、細部の描写に由来する『ベネズエラ〜』『プリンセス〜』にあった上品でさらりとした雰囲気が、荒唐無稽さで笑かすタイプのギャグで若干失われているような、そんな。面白いし、挿絵効果も相まってそれでキャラはかなりしっかり立つんだけど。

原点回帰ウォーカーズ (MF文庫J)

原点回帰ウォーカーズ (MF文庫J)

原点回帰ウォーカーズ〈2〉 (MF文庫J)

原点回帰ウォーカーズ〈2〉 (MF文庫J)