森田季節 『ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート』『プリンセス・ビター・マイ・スウィート』

大学生協にポップ付きで売ってるやつ。世界設定は2冊とも同じなんだけど、純粋に続刊って感じでもない。

ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート』。題材は記憶と忘却とかを絡めた青春系でわりとよくある感じなんだけど、都市伝説設定で途中までの不吉な筋書きを暗示することで無力感を演出して、音楽要素で切実な叫びへと上手く増幅している。洗練されてるけど媚びてない語り口も、恋愛要素をそんなに前に押し出さない筋書きと併せてかなり好み。

『プリンセス・ビター・マイ・スウィート』。前の巻でわりと一方的に目の敵にしていた側の話。表紙や帯の煽り文も含めていい意味で前巻よりラノベっぽくなってる。怪談設定を広げる方向に作り込んで説明が若干多くなってるのがシリーズ化を見据えてなら嬉しいけれど。どっちの巻もそうだけど、エピローグでの登場人物がそれぞれ決意を持つとこがいいな。もちろんそれが無かったらただの怪談説明話になっちゃうし実際そっち方向の問題が解決したわけではないんだけど、それでもその中で得た結果が示されて、読後感が良い。