小林秀雄 『考えるヒント 2』

テーマがいろいろと広かった前巻とは違って、学問や歴史について、徂徠や仁斎などを中心に深く掘り下げていく今冊。官学を問題にせず、自分の問題としての学問、道を追求した近代の思想家達の話は学ぶところが多いけれど、個人的には現代物理っていう官学も官学理屈も理屈な分野をやってるから、書を読んで孔子の思想を理解しようとした人たちとか経験による理解とかあんまり関係ないかなあ、というスタンスで読んでたらデカルトさんが出てきてうわうわわ、などなど、どのポジションでこの本を読み自分の学というものに向き合うかなどは考える素養になったと思う。わりと最近考えてる事に近くて素直に励まされる言葉もあったし。「文字通り筆に随うまでの事で、」という筆者の言葉通りに滑らかに進んでいく思索論理の、どこかに無理矢理ひっかかりを捕まえて他の論理の可能性を探るというのが「考えるヒント」という書題の由来なのかもしれないけれど、それはちょっと難しすぎるか。

考えるヒント (2) (文春文庫)