エミリ・ブロンテ 『嵐が丘』

読んだのは1960年の阿部訳のだけど。今は新訳が出ているそうな。2世代にわたる愛憎劇と復讐の話。

理性的にというよりは完全に感情論で読む本なのかなと思った。登場人物もほんとに感情的に動くから、感情移入が出来ずにうざいと思い始めちゃったらなかなか取り返すのは難しい。俺はヘアトン以外の全ての人物がうぜえと思っちゃったので、ちょっと距離を置いた読み方になったかな。ただ舞台となる不毛の地、そこで行われる感情むき出しの悲劇がもつ迫力が馬鹿にできない引力を持つのも事実。

構成は、なんでこんな七面倒なという感じで、最初の最初以外は主にその舞台となった家に勤めていた家政婦から語り聞くという構造をとってるんだけど、その家政婦がさらに又聞きした話を話したりするもんだからもうよくわからないことになってる。ほんとになんでこんな構成を、とも思うんだけど、ふと全部読み終わった後に序盤を読み返すと、一人称視点からの(語り聞きじゃない)登場人物が見えてきて、ちょっと「あれ?」ってな感じを受けるかもしれない。調べてみるとその家政婦が黒幕説とかいうのもあるそうな。そんな仕掛けももしかしたら楽しめるかも。

嵐が丘(上) (岩波文庫)
嵐が丘〈下〉 (岩波文庫)