デカルト 『方法序説』

まあ、科学やる人間が読んでないというのもなんだかなあと思ったので読了。元々は論文集の序文というだけあって薄いし、訳も1997年の新訳だかでとても読みやすかったけど、なかなか気になる点が多々。

もちろん、神の存在の証明とか心臓の熱力学的モデルとか、今の知識からすると間違っていたり無批判に現在の科学に適用するわけにはいかないことも多いんだけど、最初に何か原理を認めた上で、それ以外の全てのことを自明とせずに厳密、ストイックに論を展開しようとしている点は充分現在の数学や物理に通ずるところがあるなと思った。こういう、考えることについての方法論を考え付いて、世界の科学者としての始めの一歩を踏み出した功績については今でも色褪せないと思うし、科学を志すものとしては感謝と尊敬を感じざるをえない。哲学者としての評価とは別にね。

方法序説 (岩波文庫)