芥川龍之介 『蜘蛛の糸・杜子春』

低年齢層向けの短編が集められた短編集。有名どころだとタイトル作の他『トロッコ』とか『蜜柑』なんかが有名かな。文体も凄く読みやすいし教訓もシンプルかつスマートで、いい意味で教科書にぴったり。もちろん大人が読んでもところどころではっとさせられる。
俺が個人的に気に入ったのは『蜜柑』。あらすじ(といっても凄く短い作品なんだけど)だけはどっかで聞いたことあったんだけど、実際に読むと短い中に込められた、黒い煙と暗鬱とした気持ちという溜めがあってから、一気に開ける暖かい蜜柑の日の色という爽快感が素晴らしい。他だとはベタだけど『白』なんかも好きな話。あと『トロッコ』の最後の数行が自分の中で消化しきれずに呪いのように燻っている。なんだよあれという感じ。

蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)