平林岳 『パ・リーグ審判、メジャーに挑戦す』

日本人初のアメリプロ野球の審判になって、そこから一度パリーグの審判を経てからもう一度アメリカに行って、大リーグでの審判を目指している、っていう人の本。ちなみにブログはhttp://old-rookie.seesaa.net/。突然パスクチとか出てきて面白い。
文章が本業って人でもないので、書いてあることってのは自分が体験したエピソードが中心で、特に後半半分は自身の日記になってて、論理的に何かを主張しようっていう本ではない。けど、ただでさえ野球の審判員って何考えてるかわからん人達なのに、さらにそれを日本とアメリカの二つの環境で実際にやってそれを比較する、ってのはほんとに独自の目線で、だからこそそのエピソード中心という構成がとても面白い。よくそんなしょっちゅう色んなことがあるわいなと。
んで、そのエピソードってのは、アメリカ独自の野球の考え方と、審判員の生活の、主に2つが入り混じってるんだけど、んー、多分ある程度プロ野球を観てる人でないと面白くないだろうなあと思う。野球を知ってる人には結構面白いこと満載だけどね。WBCボブ・デービッドソンの人柄の話とか全然知らないじゃん。英語版のwikipediaでもその「誤審」の話でしかあんまり載ってないし。そういった生きたアメリカ野球の話を聞くと、ロッテファンの自分なんかは、ボビーがやっていることなんかにも繋げて考えることが出来たり。
ご本人は大リーグへの夢が諦められなかった、といっているけれど、やっぱり文章を読んでいると端々に、日本のプロ野球の構造的問題点が挙げられていて、日本の野球に嫌気がさした面があったのかなとも思う。この辺り、日本の野球も病巣が深そう。ビデオ判定の導入云々もよく言われるけど、それって結果的に審判の権威を下げることにつながって一層カオスるんだなあ等等。そういった問題での審判側からの意見ってのは結構興味深い。もう少し詳しく日本の審判員についての話も聞いてみたかった感じはするけどね。最近の技術低下と言われている問題とか。

パ・リーグ審判、メジャーに挑戦す (光文社新書)