2012-10-04から1日間の記事一覧

幸田文 『雀の手帖』

1959年、というより昭和三十四年、という方がしっくりきますけど、その1月途中から5月くらいまでの100日分、1日2Pくらいの短い随想を連ねたもの。書いてあること自体はすごく普通で、「普通のおばあちゃんか」っていう感じなんだけど、それを読ませるのは、…

ブラッドレー・ボンド,フィリップ・N・モーゼズ 『ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上 1』

忍殺、待望の書籍化。挿絵もデザインもちゃんとしていて実際お得だ。とまあ、最大の特色であるニンジャ文体を下手糞に模写して煽るのが正当なんだろうけど。これが意外と、ちゃんとディストピアめいたサイバーパンクとして面白いエピソードがこの後に続くん…

三田誠,虚淵玄,奈須きのこ,紅玉いづき,しまどりる,成田良悟 『レッドドラゴン 2』

TRPGのリプレイの体をとった物語、2巻。本格戦闘もあってサイコロの神が大暴れさ。派手な狂言回しとしてキャラに徹する虚淵きのこ成田組、そして物語の王道主人公のように顔を上げるしまどりる紅玉組。物語が物語の形を取り始めて、これは面白いことになって…

小菅正夫 『「旭山動物園」革命』

旭山動物園の園長として今のブランドを作り上げた著者が、低迷期当時、あるいは伸びてきてから、何を考えていたかを記した本。まあ、よく「ありのままの動物をいきいきと見せるようにした」なんて言われる旭山動物園ですけど、まあ客側が動物の面白おかしい…

泉鏡花 『婦系図』

通俗小説として有名な、恋愛の模様であり家の模様であり江戸っ子の義理模様でありの物語。前半の元芸者との人目を忍んだ結婚生活、それを許さない師弟関係なんかは、さすがの文体の美しさと江戸っ子の粋で堪らなく読ませるんだけど、後半、特に最後のなだれ…