2008-02-29から1日間の記事一覧

亀山郁夫 『「カラマーゾフの兄弟」続編を空想する』

東外大の学長が同人誌を出すならこんな感じ、なんだろうか。序文によってメインであることが明示された第二部を残し、第一部のみで結局未完のままとなった『カラマーゾフの兄弟』のその第二部について、本文中の手がかり、ドストエフスキーのこれまでの手法…

機本伸司 『神様のパズル』

SF。主人公が理学部物理科の落ちこぼれ4回生で素論の実験系って時点で俺に合わない本だってのはわかってたんだけどさ。物理を専攻できるだけでどんだけ幸せか考えてみるべきだと思うよ特に素論なんか花形分野なんだからもう俺に謝れ。そんな私情も合わせて、…

桜庭一樹 『少女には向かない職業』

弓を引き絞るように悲痛な、少女の物語。この悩みも悲しみも痛みも中学2年生の少女でしか表せないけれどそれだけに凄絶。思春期の未熟さと殺人という結果の重大さの格差、しかも未熟な少女自身でその結果の重さは自覚しなければならないという更なる痛み。 …