『GEAR』

 三条寺町んとこでロングラン公演やってるやつ。ノンバーバルパフォーマンス、とかいうのかな。言葉を使わない舞台。小さくて近い専用の劇場に色々な仕掛けが用意されている。専用劇場いいなと思うのは、なんか、初めて俺が想像するプロジェクションマッピングに出会った気がする。なんかプロジェクションマッピングさあ、最近流行ってるけど、なんじゃそりゃみたいの、多くね? 最終的に今、垂れ下がったスクリーンに普通に動画写してるだけのやつをプロジェクションマッピングとか呼んでたりするじゃん。鑑賞会っていうんだそれは。それが、専用劇場で舞台上の小道具に3次元的に専用の映像効果を射影する、そうそうこれだよ俺が想像してたやつ、って思う。
 専用の舞台にしか使えない映像という点ではそれも含めてなんだけど、規格化されたメディアを通してではなく生で劇場で観る、っていうことの意味を暗黙裏にやたら強調した構成で。5感のうちの嗅覚から入って世界観を立ち上げてみたり、風の触感も含めると、後は味覚だけだな。あと手品ってもう、動画で見ちゃうとなんでも編集できちゃうから生で観ないと意味がないものになりつつあるし。ダンスに使ってる音楽も、リズムパターンが分かりやすいわけではないんだけど、そこに欲しいところで全員の合ったステップが入って妙に気持ちよかったりとか、色々ある。何よりノンバーバルってことが一番の象徴だけど、これらのことに意識/無意識を問わず自分で気付いていかなくちゃいけない、その積極的姿勢というか双方向性を取り込んだエンターテインメント、しかもそれをちゃんとクォリティ的にも成功しているやつって、わりと自分から探さないと出会えないだけに、結構よかった。