ワザとこころ 能の伝承

 京都観世会館。うちの大学の民俗学とか教育学とかやってる人たちと、能の観世流宗家とその跡継ぎの方とが、能自体の話やその稽古の話をしたもの。タイトル的にはその、数百年と続く能の宗家に生まれて、幼い頃から稽古して当たり前のように継がされることが、現代社会にあるいはどんなコンフリクトがあるのかという話になりそうで、実際教育学の方はその、能の体の使い方と他のスポーツをやってる時の体の使い方に違いを感じるかとかの身体性を尋ねているんだけど、どうやらそこに意識的な違いは特に感じていらっしゃらないらしい。ありそうなもんだけど、そうなのか……。そんなとても興味深い話が多かった。なんか勝手に思ってたのは、そうやって世襲でやってて、仮に自分の子供に才能がないと分かった時って何が起きるんだろうとか想像してたんだけど、伝統芸能の稽古が、部分部分の練習をさせずにひたすら全体として見るという話とかを聞いていると、上手いとか下手とかいう概念が、もしかしたら違う枠組みなのか、そういうものが概念として必要ないやり方でやってんのかなあ、とか思ったりした。かなり面白い話が聞けて良かった。