ロバート・B・チャルディーニ 『影響力の正体』

 人が思考を省略するためにこれまで得てきた無意識の判断を、アンフェアに利用して自分の利益を得てきた人たちのやり方を、社会心理学の実験フィールドとして扱って暴露する本。無意識に人の真似をする(自殺報道があると自死率が上がるそうな)のを利用してCMに出来るだけ普通の人を起用するとか、自家撞着を利用して、先にアンケートとかで環境に優しい自分というイメージを作らせてから寄付を頼むと寄付率が上がる、とかそういう、ある意味上手く騙しといてくれれば気づかなかったのに、的な話が続く。どこで力を入れればそういうのを断れるか、みたいのも書いてあるんだけど、例えば要らないものでも貰ってしまえば恩義が生じて相手の言うことを聞きやすくなってしまう、みたいな話もあって、なんだろうなあ、個人的には前にインドに行った時にそういう押し売りがあって、そういうのを断る時に、相手を人間として見ないという断絶の意思みたいのが必要で、そういうのをやるのには結構MPを使う。たぶん、この本を読んでそういうのに理論的な正当化を持っておけば、そういうのを断るのに必要なMPが下がる、のだといいなあ。

影響力の正体 説得のカラクリを心理学があばく

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