-140611

  • 論文読み
    • 予習リストの最後2つ、ブラックホールの話。周りでBHやってる人の話を聞いてて、ナイススライスって言葉を聞くたびに、ナイススティックにスライスハム(とシャキシャキレタス)を挟む食べ物を想像してたんだけど、全然関係ないことが分かった。
    • 最後のがTEEの話である。LiouvilleのS変換の式って、いっとき真面目に計算しようとしたことがあるので、そこだけ急に計算の中身が分かって「ほうほう」と思った。なんかnonRCFTでのEEって誰でも思いつく拡張なのに誰も計算してないのってよっぽどつらいのかと思ったけど。計算出来てる部分もあるのね、という感じ。2n点を積分残した漸化式の形で書いてなんかいじるとこれになるのかねえ。
    • 家でこうやって論文を読む時って出来るだけ楽な姿勢になりたいので、ゆるゆるの作務衣(新調する時に真っ先にやるのは、腹回りのゴムを伸ばすことである)を着て布団に寝っ転がって、首だけ起こして、真っ暗な部屋にぼんやり光ったiPadで論文を読んでいる、もう8年物理をやって辿り着いた怠惰そのものの姿勢なんだけど。あした重力が3倍になってもたいして困らない。それで文献紹介も入れるとこうやって2週間以上ずっと論文を読む作業を続けてると、なんだね、唯一まともに起きてる首を痛めるね。寝てないのに寝違えてて、首をひねりながら学校に向かっている。これ以上楽な姿勢って、介護ベッドとプロジェクターを組み合わせるしかないような気がするんだけど。それか、なんかケーブルの繋がった培養液に俺の脳だけ浮かんでるやつね。

 明後日が研究室のオープンラボで、なんか学部生がうちの研究所に押しかけてくるらしいんだ。まあ別にいいっていうか、俺も今の研究所に入ろうと思ったのはこのオープンラボがきっかけだから、それはまあいいんだけど、さすがに最終学年としては来年誰が来ようとたいして関係ない(まあ今年学位を取らずに留年して就活するというルートがかなり現実味を帯びてきてるので、あながち関係なくもない)ので、多分明後日もあんまり顔を出すつもりはないんだけど、とにかくそういうものがある。基本的に俺は地下の座敷牢に閉じ込められてるので、顔を出すも何もない。そんで、後輩が研究室紹介みたいな発表資料を作ってるんだけど、なんかそこに、ここ数年で何人ぐらい入って何人ぐらい修士なり博士をとって、何人ぐらいが物理をやめて何人ぐらいが研究職に就いたか、みたいのを書く欄があるんだ。が、なんかそこで、「数年」で区切る時の当初にいた学生の数をうまく処理出来なくて、入学した人の数と出ていった人の数が合わないように見えてるらしい。なんかこのままではうちの研究室が、入ってきた学生の右腕を切り取って植木鉢に挿しておいたらすくすくと育ってもう1人学生が増えて博士号をとりました、みたいなことをやってるように見えると。その実験はまだ成功してないやつじゃん。どう説明したものかと困っている後輩を見かねて声をかける、正確には座敷牢に通じている通気パイプに声を吹き込んで伝声管みたいにして声をかけるんですけど、そんでその後輩に「あの、それは明日僕が死んだら数が合うものなんでしょうか」とか訊いている。俺に聞こえるように数が合う合わないという話をしてるってことはそういうことなのだろうと思って。そしたら「いや、そのくらいじゃ合わないくらいズレてます」とのこと(最近、俺の死ぬ死ぬギャグが後輩に流されるようになった)。あー、俺はまた後輩の役に立てていない。がっかりしてまた膝を抱えて腕に注射針を刺し直して、桜に養分を与える仕事に戻っている。そんなわけなので、まあ明後日いらっしゃる人がいれば、そこの数が合わないのはそういう理由です。あんまり意地悪な質問をしないであげて下さい。地下に誰か閉じ込められてるって本当ですか? という質問も、誰も知らないふりをすると思うので訊いても無駄です。よろしくお願いします。まあ、全部嘘ですけどね。落とし穴には気をつけて。