村上春樹 『女のいない男たち』

 女のいない男たち、いなくなった男たち。用意してあった場所が空白になっているのに、自分で目を向けられるかどうかが、どんな形の空白であるかよりも重要な問題になっている気がする。静かな話が多い。(この作者独特の言葉で)何かを比喩させるためにあるかのように扱われるもの、けど比喩させることによって、なんか違うものへの暗示になっている、その不思議さ。

女のいない男たち

女のいない男たち