『少年時代』

 1990年。戦中疎開で富山に引っ越した小学生男子と、その男子クラス内での派閥争い。ガキ大将の1人対1人で向き合った時の優しさと、クラスで多人数になった時に統治する暴力性のギャップ、そこでやり過ぎて破綻が起きて今度は虐められる側にまわるという、まあ"いじめ"の話として見ればよくある話ではあるんだけど、それを包む戦争という大きなフレームワークがかなり効いてて(喧嘩を諫める教師の、君らの体は全て将来国に奉公するためにあるんだからほどほどに、みたいな台詞とか、終戦して少年を東京から迎えに来た母親の、こんな田舎で何もなくて良かったみたいな台詞とか)、メタファとしての反戦が多分あって、その匂わせ方がわりと良かった。あと、小説を基にした藤子不二雄Aの漫画が原作で、映画の制作にも藤子不二雄Aが絡んでて、もちろん富山は藤子不二雄Aの出身地で、それを使った自然の風景とかの絵がなかなか綺麗なんだけど、しかし田舎の方言丸出しのガキ同士の暴力性がえげつなくて、え、富山のイメージ的に大丈夫なのかこれ……? と思った。