幸田露伴 『運命 他一篇』

 表題作は明の皇帝争いの戦争を描いた歴史小説。一応フィクションなんだけど、そのストーリーは中国に既存の歴史書で、評価されているのはそれを日本語に書き下した文体であるということらしい。確かに、漢文の読み下し文なのに、ちゃんと手についた日本語で、しかも漢文書き下しで書くにふさわしいことを書いている、といえばそれはそうな気がする。それにどのくらい価値を置くべきなのかは分からない。

運命―他一篇 (岩波文庫)

運命―他一篇 (岩波文庫)