-130603

  • 3つ目の話
    • やってる。終わらないと帰れません。

 今通ってる研究所まで、ホテルから歩いて40分くらいかかるんだけど、しかもその歩く道ってのが、なんか泥だらけの山路なのね。往路が登りなんだ。で、来て最初の一週間目、先週はなんかチュートリアルみたいなもんで、えー、半年前に死んだ俺の爺さんに横顔のよく似た現地の研究者が違う道を車で送ってくれて。1日目は行き帰り、2,3日目は行の登りだけ。どのくらいの山路って言うかなあ、えっと、今春で引退されたうちの研究所の元所長っていうのに、これまで3年間で唯一俺がマジ怒りされたのって、「君の立てた遠足の計画が生ぬるい、もっと山を登らないと、デートじゃないんだから」ってのだけですけど、この研究所までの山路は元所長にも遠足として許されると思う。まあそのくらい。それで週が明けて今朝だよ、初めてその山路の登りを歩いてみたら、えー、登り切れませんでした。フランスまで一緒に来ている世話になってる教員(つよい)がスタスタ登って行くのに、もう超前かがみでぜーはー言いながら、木組みの階段を登り切ったところで、もうその辺の山路にひっくり返って仰向けに倒れて、ぷちげろ吐きながら自分の心臓をさするという、傍から見てる方が心配になるやつ。でもねえ、山ん中で寝転ぶの、気持ちいいよ、なんか今、夜中も咳であんまちゃんと寝れてないとこで、鬱蒼とした山ん中、全部放り出して、まあ気持ちとしては足をジタバタさせて「もう一歩も歩けない~~」じゃん。足をジタバタさせるための血も足りてないけど。ちょう気持ち良く休んで、まあ結局そっからはちゃんと行けたんだけど、あとから見ると体のあちこちが虫に刺されてる。尻とか手の親指の付け根とか。だから、吸うほどの血も足りてないんだって。